患者様の症例今までの症例を分類し、解説しています。
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皮膚科
case.006 |
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主訴:帯状疱疹(ヘルペス)およびその後の神経痛 |
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症状 |
帯状疱疹(ヘルペス)およびその後の神経痛 [皮膚科疾患] |
パーソナルデータ |
八尾市在住/女性/中年期(45~64歳) |
現病歴 |
9月19、20日と友人らと旅行に行った際、右肋間神経の走行に沿ってピリピリした痛み出現。帰宅後すぐに近くの皮膚科を受診。1week抗生物質、その後痛み止めとビタミンB12を処方されるが、痛み止めの副作用で胃痛が起こり、服薬中止。
その皮膚科の先生に当院の鍼灸治療を勧められて来院。 |
その他の問診事項 |
不眠(入眠障害にてたまにデパス服用)
口苦、食欲不振、腹部膨満感
大便は3~4日に1行
小便は短赤 |
突起すべき体表観察 |
舌診:淡紅~紅 黄膩苔
脈診:滑弦数 右関上枯脈
原穴診:右外関(冷)、右神門(虚)、左太衝(虚中の実)
背候診:右心兪(熱)、神道(圧痛)
腹診:右肝相火 |
診断と治療方針 |
肝胆湿熱
湿熱の邪が肝胆に阻滞し、そのために肝胆の疏泄機能が失調し気機が阻滞したため気滞血瘀となり、脇痛が起こったものと考えられる。
1診目~3診目:蠡溝
4診目~5診目:太衝
6診目~10診目:肝兪 |
治療経過 |
1診目で痛みが10→5まで減少
2診目以降、帯状疱疹が大幅に減少すると共に、ピリピリした痛みもなくなった。
5診目で寝つきがよくなり、数ヶ月ぶりに朝までぐっすり眠れたと驚かれる。
7診目よりここ数年間常にあった腹部の膨満感がなくなる。
10診目でヘルペス後の神経痛も全く痛まなくなり、完治。 |
考察 |
帯状疱疹(ヘルペス)及び帯状疱疹後の神経痛には、鍼灸が大変よく効きます。
今回は、鍼灸治療に理解のある医師が早めに当院をご紹介下さり、早期治療ができたことに感謝です。
「ヘルペスだけでなく不眠症や胃の不調が1本の鍼で治るなんて……」と驚かれていましたが、これこそが「心」と「身体」を一体のものとして診る東洋医学の真骨頂です。
鍼1本だからこそ全体のバランスが整えられたのです。
日々、心配事やつらい事、思い出したくないこと等々、気が滞る事ばかりかも知れませんが、まず身体から整えて、少しでも快適で愉快な気分で毎日を暮されるように心から願っています。 |
case.007 |
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主訴:アトピー性皮膚炎 |
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症状 |
アトピー性皮膚炎 [皮膚科疾患] |
パーソナルデータ |
八尾市在住/女性/青年期(15~30歳) |
現病歴 |
生後半年頃より両肘関節内側、両膝窩部に皮膚炎発症。小学生の頃より顔面部、両前腕、両下腿へと拡がってくる。皮膚科でアトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド塗布剤を処方される。小学生時代は、年に3~4回程度発症し、その度にステロイド塗布にて症状消失。
高校生になり、受験勉強を本格的にしだした頃より、赤味、痒みともに酷くなり、ステロイド塗布にて寛解するも、使用しないと以前より悪化する。
初診時、発赤、熱感強く、掻くと漿液性の肌汁が出る。出血あり。全体に湿潤性紅斑強く、一部苔癬化病変を認める。
このままでは受験勉強にも差し支えるとの事で、父親が同僚(アトピー性皮膚炎が当院にて寛解)から当院のことを聞いてきて来院。 |
その他の問診事項 |
好物:肉、中華料理など脂っこいもの。 夜食にカップ麺をよく食べる。
実力テスト、定期テスト前になると悪化する。 |
突起すべき体表観察 |
舌診:暗紅 白膩苔 舌辺無苔 舌尖紅
脈診:滑弦数 右関上枯脈
原穴診:右行間(熱)
背候診:右肝兪(実)
腹診:右肝相火 |
診断と治療方針 |
湿困脾土、肝鬱気滞
肥厚甘味の食事、ストレス、便秘等により邪熱を身体内に溜め込み、その邪熱が皮膚に停滞しアトピー性皮膚炎を発症したものと考えられる。
1診目~3診目:後渓
4診目~10診目:百会
11診目~13診目:行間
14診目~20診目:申脈
21診目~25診目:肝兪
26診目~30診目:百会 |
治療経過 |
3診目から便通がほぼ毎日つくようになり、同時に肌汁の分泌も大幅に減少。
5診目頃より全体の赤味、痒みも改善し、夜も眠れるようになる。
15診目頃より発汗するようになり、痒みもさらに減少。
20診目以降、定期テスト前にも関わらず悪化せず、逆に赤味が減少。苔癬病変も徐々にではあるが確実に改善しつつある。 |
考察 |
お父様の同僚の方のアトピーはかなり酷いものでした。それが治ったという事実をお父様から得々と聞かされ、「鍼で治るんだ」と強い確信を持たれた上で治療ができた事が、本当に喜ばしい結果につながったのだと思います。
夜食禁止、肉類、脂っこい物禁止等、かなり厳しい養生指導でしたが、ご家族一丸となって協力して頂けたこと、ほんとうに感謝です。
このように中等度以上の紅斑であっても早期に改善し、また難治とされる苔癬化病変が改善されていく様子を目の当たりにすると、鍼ってすばらしいなぁとつくづく感じます。
無事、希望の大学に合格されますよう、心よりお祈りいたします。 |
case.009 |
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主訴:アトピー性皮膚炎 |
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症状 |
アトピー性皮膚炎 [皮膚科疾患] |
パーソナルデータ |
八尾市在住/男性/青年期(15~30歳) |
現病歴 |
12歳の頃から中学校でいじめにあう。その頃より皮膚炎発症。
最初は両肘内側、両膝窩に皮膚炎出現。皮膚科にてアトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド塗布剤を処方される。
痒みの酷い時は塗布し、一時的に治まっていたが、インターネットでステロイドの怖さを知り、症状は悪化しているが現在は使用していない。
現在、顔面紅斑、両肘内側、両膝窩、両肩などに皮膚炎ができている。身体全体が乾燥肌で赤黒く、熱感・痒みが強く、掻くと出血し掻破痕ができる。
ママ友同士の話の中で当院を勧められ、母親と来院。 |
その他の問診事項 |
口渇有、冷飲を好む。便秘。目の充血有。発汗少ない。
肉類が大好きで、野菜は嫌い |
突起すべき体表観察 |
舌診:紅舌、白膩苔、舌辺無苔、舌中乾燥、舌裏に瘀血
脈診:弦滑数、左関上枯脈
原穴診:左太衝(虚中の実)、左行間(熱)
背候診:筋縮(圧痛)、十七椎下(圧痛)、左肝兪~左三焦兪(虚中の実)
腹診: 右脾募、右肝相火 |
診断と治療方針 |
肝鬱化火、陽明の鬱熱
心理的ストレスにより気分が塞ぎ、その結果肝の疏泄機能が失調し化火したものと推定され、湿というよりは鬱熱によるアトピー性皮膚炎と考えられる。
1診目~3診目:百会
4診目~7診目:内関
8診目~10診目:脊中
11診目~15診目:行間 |
治療経過 |
初回の治療で、数ヶ月ぶりに朝までぐっすり眠れたとの事。
3診目で、肘内側及び膝窩部の紅斑改善。痒みも大幅に減少し、便通も毎日つくようになる。
7診目、数日前にかなりストレスのかかる事があったというが、皮膚炎悪化せず。
10診目、皮膚炎、ほぼ寛解。
11診目以降、体質改善の為、現在も通院中。 |
考察 |
ストレス過多の現代病であるアトピー性皮膚炎。その殆どは肝の異常な昂ぶりを原因とします。それが汗腺を閉じさせ、便秘を招きます。
その結果、身体の中に熱を溜め込み、皮膚の乾燥を生じさせます。
初診時、置鍼中にぐっすり眠ってしまわれましたが、これは肝の昂ぶりが鎮まって緊張がほぐれた証拠です。
ストレスがかかっても、うまく発散できる人と出来ない人がいます。
鍼の素晴らしいところは、身体→心にアプローチできるところです。身体から治して行けば少々のストレスには負けないようになり、心身ともに強くなって行きます。
彼の秘めたるエネルギーが、いかんなく発揮できる時が来ることを楽しみにしています。 |
case.011 |
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主訴:アトピー性皮膚炎 |
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症状 |
アトピー性皮膚炎 [皮膚科疾患] |
パーソナルデータ |
八尾市在住/男性/幼年期(0~5歳) |
現病歴 |
生後3カ月:肘窩、膝窩、耳に痒みを伴う湿疹出現。皮膚科にてアトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド塗布剤処方される。ステロイド剤は使いたくなかったので転院。
生後4カ月:転院先の皮膚科で強酸性水を処方され塗布する。初めの頃は効いていたようだったが、その後変化なし。
生後10ヶ月:症状悪化する。全身に紅斑拡がり、背部に湿潤性発疹強い。肘窩、膝窩は掻きむしるため出血し淡黄色の肌汁が出て、掻破痕が痛々しい。強酸性水・皮膚湿潤剤・抗生剤使用。 |
その他の問診事項 |
増悪因子:眠い時、空腹時、入浴後、夕方~夜
寛解因子:散歩中、満腹時、午前中
母親:大人になってからアトピー。脂っこい物(中華料理、肉類など)、甘い物の摂取多い |
突起すべき体表観察 |
気色診:肝、脾
舌診:淡紅、薄白苔
脈診:右(気関、風関)青、左(風関)青
原穴診:切診し難し
背候診:切診し難し |
診断と治療方針 |
肝脾不和
赤ちゃんは母親の精神状態や飲食物の影響を強く受けます。授乳中は尚の事です。
今回の症例は、母親のアトピー素因を受け継いだ所に、湿熱を溜め込む食事を摂取し続けた母親からの母乳が引き金になって発症したものと考えられます。
1診目~6診目:百会(古代鍼銀にて接触鍼)
7診目~12診目:行関(古代鍼銀にて接触鍼)
13診目~18診目:公孫(古代鍼銀にて接触鍼)
治療に使用した古代鍼は、刺す鍼ではなく接触するだけの鍼なので全く痛みはありません。当院では主として小児ばりに使用しています。 |
治療経過 |
1回目の治療で赤味が大幅に減少。痒みが減少したのか掻くことが少なくなったとの事。
3診目より、夜ぐっすり眠るようになったとの事で、お母様の表情も和らぐ。
7診目より、赤味がさらに減少し、出血、掻破痕も綺麗になる。
13診目、殆どアトピーとはわからないほど綺麗な肌になる。
14診目以降も体質改善の為に通院中。 |
考察 |
この時期の赤ちゃんはダイレクトにお母様の影響を受けます。
今回はお母様に思い切った食養生(湿熱を溜めやすい食品摂取の禁止)をして頂きました。(具体的には、甘い物、油物や肉類、香辛料、コーヒー、冷たい物、卵などの摂取を禁止)
その結果が早期の治癒に結びつきました。
並行してお母様も鍼治療を受けられ(現在も通院中)、穏やかな表情とスッキリ引き締まったお身体になられて、母子ともに健康になられたようで本当によかったです。
本当の鍼の素晴らしさを、一人でも多くのアトピーの方に知って頂けたらと思います。 |
case.012 |
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主訴:アトピー性皮膚炎 |
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症状 |
アトピー性皮膚炎 [皮膚科疾患] |
パーソナルデータ |
西宮市在住/女性/青年期(15~30歳) |
現病歴 |
乳幼児:肘内側・膝窩に発疹出現。
中学生:発疹は前腕、下腿に拡がる。ステロイド塗布剤使用。テスト前になると悪化する。
高校生:症状は落ち着いたが、新たに指の股のところに発疹出現。
大学生:発疹は割と落ち着いていた。
就職後:入社して1年後、営業職(本意ではない部署)に移動した頃より悪化。精神的ストレスが強く、飲食不摂であった。ステロイド塗布剤をずっと使用していた。
昨年より、症状さらに悪化。手指、手背、上腕~前腕、頚、顔、下腿と衣服から出ているところ全てに乾燥した発疹(水分を過剰摂取すると湿潤性になるとの事)ができた。痒みも強い。吹き出物も多くなった。
母親(当院にてアトピー性皮膚炎寛解)にすすめられ来院。 |
その他の問診事項 |
最近体力が低下したと感じる。微熱が続くことが多くなり、無汗。腹部違和感があり、食後軽減する。口渇有、口内炎ができやすい。
体重が1年間で8キロ減少。
高校生の頃から花粉症発症。
大便:3日に1行(便秘薬服用)
小便:尿勢なく、濃黄色 |
突起すべき体表観察 |
舌診:暗紅 焦黄苔 舌尖紅刺
脈診:緩滑枯
原穴診:左太渓(虚)
背候診:巨闕兪(圧痛)、左肝兪~左三焦兪(虚)
腹診:左肝相火 |
診断と治療方針 |
肝鬱気滞、脾腎両虚
精神的緊張や多忙などから肝気が鬱結しやすい状態にあったと考えられる。
肝気の鬱結とは、肝の疏泄機能の障害によって気鬱・気滞など気機の失調をきたした病変である。多くの場合、精神情緒が乱れ、抑うつや怒りによって肝を傷ぶり、肝が疏泄機能を失ったり、湿熱の外邪が侵入して気機を阻滞させたり、あるいは肝陰や肝血の不足のために肝気が濡養されず、肝の疏泄機能が失調するなどの原因によって引き起こされる。
1診目~8診目:百会
9診目~12診目:肝兪
13診目~18診目:百会
19診目~ :脾兪 |
治療経過 |
3診目頃より、疲労感軽減し、皮膚症状も安定する。
8診目頃より、便通がほぼ毎日つくようになる。皮膚症状かなり軽減。
15診目頃より、全身の皮膚症状がほぼ寛解する。
18/診目頃より、色素沈着もかなり綺麗になり始める。食事が美味しくなる。 |
考察 |
気が上に上がり相対的に下が弱る、いわゆる「上実下虚」の状態でした。
百会を瀉すことにより下の脾腎を強化する治療で大幅に軽減しました。
上下のバランスをとっておくことは単にアトピーの治療であるばかりでなく、病気を未然に防ぎ(治未病)、老化を遅らせることにもなるのです。
初診時は大変こわばった表情をされていましたが、治療を重ねるうちにリラックスした素敵な笑顔になって来られました。
たった1本の鍼でバランスを取ることがどれほど効果があるか、実感して頂けたかと思います。
鍼を大いに信頼して、遠方からお通い頂けたことに感謝します。 |