患者様の症例今までの症例を分類し、解説しています。
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泌尿器科
case.021 |
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主訴:夜尿症 |
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症状 |
夜尿症 [泌尿器系疾患] |
パーソナルデータ |
八尾市在住/男性/少年期(6~14歳) |
現病歴 |
きっかけは不明だが2年来、ほとんど毎晩遺尿が起こり、ひどい時にはひと晩に2回、遺尿が起こる。 1年前より先月までの1年間小児ばり中心の鍼灸院に通ったが、ほとんど症状は改善しなかった。
修学旅行もあるので何とか治したいと思っていたところ、小学校のママ友どうしの会話で当院の事を聞き、来院される。 |
その他の問診事項 |
尿は濃黄色であり、臭いはきつい。
夜間に歯ぎしりをし、寝言、夢多い。 |
突起すべき体表観察 |
顔面紅潮、口唇赤い
舌診:紅 薄黄苔
脈診:1息4至半 滑数
原穴診:左太衝(熱実)、その他 左蠡溝、左三陰交(熱実)
背候診:左肝兪~左三焦兪(熱)
腹診:両脾募、右肝相火、大巨、中極 緊張 |
診断と治療方針 |
肝経湿熱
本症例は、肝の臓において湿熱が蓄積(肝経湿熱)し、肝経に沿って下注(湿熱下注)となり、湿熱が膀胱に蘊鬱して気化が失調したために起こった遺尿症候と判断することができる。
1診目~8診目:行間(古代鍼銀)
9診目~15診目:太衝(古代鍼銀)
以上、すべて刺す鍼ではなく、接触させて使う無痛の鍼で施術を行う。 |
治療経過 |
修学旅行までに治したいとの事で、週2回の鍼治療開始。
1診目より遺尿せず、大いに喜ばれ、また驚かれる。
その後、遺尿した日も数回あったが、10診目以降はめったにしなくなった。 |
考察 |
3歳以上の小児が睡眠中に良く尿を漏らし、起きてからはじめて気づく疾患を夜尿症、中医では遺尿証といい、腎陽虚型、肺脾気虚型、肝経湿熱型などに弁証分型されます。
鍼灸治療は本病に対して非常に良い効果があります。弁証が正確であって選穴が適切であれば、この症例のように非常に満足のいく効果を得られます。
また、成人に見られる「睡中遺尿」の患者さんも当院にはよく来院されますが、これに対しても鍼灸治療は非常に効果があります。
このお子さんは、夜尿症が改善された事は勿論ですが、イライラや夜の歯ぎしりといった症状も同時に消失しました。
夜尿症だからこのツボに鍼……といった考え方ではなく、病の根本を診る中医学の鍼の素晴らしいところです。
子供は親が思っている以上に、毎日ストレスにさらされています。
これをきっかけに学校生活が以前より充実した楽しいものとなるよう、鍼を介してお手伝いをさせて頂きたいと思います。 |